IEEE Translation Journal on Magnetics in Japan
日本国内発行の日本語で書かれた磁気関係論文を英語に翻訳
by Osawa H, Kurihara Y, Ono K
IEEE Translation Journal on Magnetics in Japan (IEEE transl. J. Magn. Jpn.)
vol.6, no.8, pp.698--708, 1991.
[doi]
日本の磁気記録研究に対する世界の評価
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ほんとうにスゴイ論文は日本語で書いても外国で読まれる 5号館のつぶやき
というわけで、やはり論文は英語でかかなければ意味がないのかもしれないと
思っていたのですが、
除雪をしながら先週末2008年01月19日に配信になったヴォイニッチの科学書の
ポッドキャスティングを聞いていて、
ひさびさに上に書いた水産学の話を思い出しました。
ヴォイニッチの科学書では、磁気ディスクの垂直磁気記録方式のことを
話していたのですが、
この技術は日本で30年くらい前に発明されて、2004年に製品化されるまで
日本が独走していて、アメリカがまったく追いついてこれなかった
ということがあったのだそうです。
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Chapter-188 日本人が発明した垂直磁気記録 ヴォイニッチの科学書
垂直磁気記録方式は日本語の学術雑誌に様々な技術が発表され、
日本のお家芸として進展しましたが、このことについて、
1984年に、アメリカの電子・電気技術の学会、
The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.
(IEEE)がアメリカの上院でこのように証言をしています。
「日本では、非常に多くの研究成果が日本語の雑誌だけで出版されている。
西側諸国はこれらの非常に重要な研究成果から遮断されている。
ソ連が初めてスプートニクを打ち上げたときに、
アメリカではソ連の物理学会雑誌の翻訳を始めた。
同じように日本語の学術雑誌を翻訳すべきである」
非常に重要な論文がありながら「日本語なので読めない、
その間にもさらに後れをとってしまう」とやきもきする
海外の技術者の姿が目に浮かぶサイドストーリーでした。
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NE Books 超高密度外部記憶装置の新展開, 日経エレクトロニクス編 p.26,
日経BP社 Jan 15, 1998.
1984年、米国 IEEE Magnetics Society会長による
米国議会上院科学技術委員会での証言
(The Institute, News Supplement to IEEE Spectrum, May 1984)
「20年前ソビエトの物理学論文に対して行ったように、日本語による技術論文の
翻訳機関を作ることが必要である。」
IEEEが1985年4月から1994年6月まで約10年間、日本応用磁気学会等の論文を
翻訳し、「IEEE Translation Journal on Magnetics in Japan」として出版。
スプートニク・ショック
人類初のソビエト連邦(現ロシア)の人工衛星の打ち上げ成功
日米情報摩擦
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情報管理[link] 2009年2月号
データベース白書, 23年の軌跡[doi] 根岸正光
7. データベース白書英語版と日米情報摩擦
英語版発行の背景には80年代後半における
「日米情報摩擦」がある。折から日本経済はその後バブルと称される
好況にあり、低迷する米国経済を凌駕(りょうが)するという
「ジャパンアズナンバーワン」の時代であった。
これに対して米国からは「日本は日本語という非関税障壁をもって
重要な情報への外国からのアクセスを妨害しており、
このため米国企業の日本への進出が阻害され、日本側の一方的優勢に
なっている。
外国にとって必要な情報は英語化して発信すべきである」
といった、言い掛かりともいえる主張がなされた。
この問題を議論するため、「第1回科学技術と商業に関する日本情報
国際会議」が1987年9月に英国Warwickで開催され、その後、1997年
ワシントンでの第5回まで2年ごとに開催されたのである。
実際、米国は1986年に「日本技術文献法」を制定して、日本情報の導入に
力を入れ、わが国に対しても国産DBの英語化や海外からのアクセスの改善を
強く要求してきた時代であった。
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3.1 アメリカ議会図書館[link] from 国立国会図書館サイト
外国語資料は議会図書館が歴史的に重視してきたところであり、
たとえばここは日本研究の資料などにも長い歴史をもっていた。
かなりの時期にわたり、東京に事務所を構え、
国立国会図書館の目録を利用してアメリカ本国に本と灰色文献を送っていた。
1991年から議会図書館内に
「日本ドキュメンテーション・センター」を設置し、
データの蓄積を図り、そこには在日本アメリカ大使館で翻訳していた
新聞・雑誌の記事なども入力されてきたが、
現在はその日本ドキュメンテーションは廃止されている
(収集された資料はいまなお利用できる)。
外国語、特にロシア語、アラビア語、日本語などの、
非ヨーロッパ言語の科学技術論文、報告書、国際会議のペーパー、
特許などを英語に翻訳して資料として蓄え、
研究者の利用に供するものである。
これは1953年よりシカゴ大学内のジョン・クレラー図書館のなかに設置された
全国翻訳センター(NTC)が、1957年のスプートニク・ショック
以後にロシア語技術文献の英訳を担当していたが、
1988年に当該業務の打ち切りが決定されたのを受けて、
ビリントン館長がNTCと交渉し、議会図書館がこれを継続すること
とされたものである。
外国文献の収集にも積極的で、日本語コレクションについても、
おそらく議会図書館のそれは日本以外では最大のもので、
他の諸国語に関しても同様のことが言える。