ア 達成目標について
製品となるハードディスクの記録密度向上の速さがプロジェクト開始当初と比べて鈍ってきていることから、確実な実証試験を目指すために、実証する記録密度を、1テラビット毎平方インチから500ギガビット毎平方インチに修正することは、実用化を目指す研究課題の趣旨に沿っており、納得できる。ただし、記録密度1テラビット毎平方インチに向けた要素技術の研究開発は継続し、知財権の確保などに努力することが重要である。 一方で、連携している企業にリーダーシップを発揮することで、業界のトレンドに迎合せずに、記録密度1テラビット毎平方インチでの実証という当初目標の達成を目指して欲しいとの意見もあった。イ 目標達成に向けた研究開発等の進捗状況
世界最高の記録密度150ギガビット毎平方インチ級の磁気記録媒体の開発に成功し、試作に取り掛かっている等、研究開発は順調に進捗し、世界を先導するレベルに達していると判断できる。 一方で、学術的成果の論文発表の点では、特に大きなものがまだ見えないので、今後に期待するとの意見もあった。ウ 実施体制について
ハードディスクに関する日本を代表する企業(5社)と連携し、東北大学が集中研となった強力な推進体制が整備されている。連携にあたっては、知財権についての規定を整備し、円滑な共同研究を可能としている。エ 研究成果の普及への取り組みについて 連携企業を通じた研究成果の産業への貢献が明確であり、ハードディスクの高密度化には大きな需要があるので、本研究開発の成果には大きな経済的波及効果が期待できる。 一方で、成果の製品化には期待をするものの、従来方式とのコスト比較に関する見通しが提供されると、経済効果について納得を得やすいとの意見があった。
オ 人材育成について
人材育成は十分になされていると認められる。しかし、産業界においてはこの分野の人材は不足していることから、他の大学との連携強化等の方策により、人材育成の更なる努力を期待したいとの意見があった。カ 今後の進め方について
今後は、記録密度1テラビット毎平方インチを目指した要素技術開発の努力を継続しつつも、記録密度500ギガビット毎平方インチでの確実な実証に重点を置いて研究開発を進めることを期待する。
達成目標4-3-1 研究初年度の平成14年度は、 例えば超小型大容量ハードディスクの開発については、146ギガビット/ 平方インチの記録密度が期待できる磁気記録媒体を開発するなど、 概ね順調に進捗している。